2. 関係


私たちが、愛という言葉を聞いてまず最初に思い浮かぶのは、身近な
人々への思いや感情‥といったものではないでしょうか? 単なるあ
こがれではなく、物品への愛着でもなく、ここでは特にごく親しい人
々との関係という意味において、それを取りあげていきたいと思いま
す。
 
誰でも皆、幼いころから友人や家族との関係について、そしてまた、
だんだんと大人になるにつれて恋人のこと、そして結婚や、将来子供
を持つことについてを考えるのではありませんか?
 
人と関わりあうことの中には、一緒に時を過ごす、何かを共感したり、
共有したり、分かち合ったり、また協力し、何かを産み出す、そして
お互いを見守り、慈しむ‥。それ以外にもいろんな要素が含まれます
が、それら関係といわれるものは、実はいつも自分自身、私からの視
線で存在しているのではないでしょうか?
 
私がつき合っている人、私と話があう人、私を好きな人、私が好きだ
と思って一緒にいる人が、私の友人、私の恋人、またはすでに私の妻
や夫です。私と一緒に暮らしているのが私の家族。私と一緒に働いて
いる人が同僚で、私を雇い使う人を社長や上司と呼んでいます。
 
子供との親子関係については、後ほどあらためて見ることにして、ま
ずは友人や恋人、夫婦関係、仕事関係などについてを見てみましょう。
では、それら関係には、必ずいつも愛がある、またはあるべきものな
のでしょうか? 
 
もう少しわかりやすく、具体的な問いにしてみましょう。例えば、あ
なたは「恋人と結婚したい」と思いますか? その結婚には愛がある
でしょうか? 既婚者の中には、愛を感じている方もいるでしょうし、
そうでない方もいるでしょう。そして昨今では、離婚も多いのが実情
です。
 
そもそも結婚とは何なのでしょう? どうして結婚する必要があるの
でしょうか? これはいたって素朴な質問です。そしてまた同時に全
く見過ごされ、意識にさえのぼらなかったりもするようですが、せっ
かくですから、どうぞ今一度、真剣に考えてみてください。
 
いわゆる結婚とは、誰かと共生の関係を持つにあたって宣誓したり証
明して、周りから認めてもらうために存在する制度ですが、愛にはそ
のような必要があるのでしょうか? 
 
制度とは形式的なものですから、それは気持ちを偽ったり、愛がなく
ても成立させることができます。そうすると結婚と愛とは、真には結
びつかないのではありませんか? そのきっかけは愛情だったり、家
族を持つことが大きな目的でしょう。しかし結婚それ自体は、愛では
ないということです。
 
いくら親友同士でも、つき合っている恋人がいても、一緒に暮らして
いる夫や妻がいても、楽しく仲良く働く仲間であっても、愛は自分の
意志によって思いのままに生みだしたり、溜めることができたり、ず
っと保証されるわけでもありません。
 
型にはめることができないのが愛ではないでしょうか? 実際それに
は動きがあるように感じます。今はあっても、次の瞬間には去ってい
る‥というように。ではそれを感じるのは、一体どういう時なのでし
ょう? はたして、私たちはそれを掴めるでしょうか?
 
その前に、まだはっきりとは見えていないかもしれませんが、私たち
が普段抱いている愛のイメージと、真の愛との間には大きなギャップ
があるような気がします。そこで、その細かな違いを問うよりもまず、
イメージそのものについてを見てみることにしましょう。
 
イメージとは、心に刻まれた印象や、思い浮かべる情景のことです。
私たちが体験した、見たり聞いたりしたことの記憶、残像の寄せ集め
から作られます。何かのことをいろいろイメージはできるでしょうが、
それは脳内にある、過去の継ぎはぎ的な情報や、曖昧な記憶から成り
立っていて、事実や真実とは異なりが生じてきます。
 
例えば、愛のイメージも人によってさまざまでしょうし、何よりイメ
ージすること自体が不確実です。ですから愛に対して皆が持っている
イメージ同士が多少似ていたとしても、そのようなものから真の愛は
明らかにならないことが、お解りいただけるのではないでしょうか?
 
ですが普段、私たちが求めたり成就させようとする愛、恋人や夫婦、
家族や友人としての関係とは、もっぱら映画や小説、人から聞いた話
や、友人たちからの印象など、やはりそのイメージにこそ大きく頼っ
てしまってはいないでしょうか? 
 
なぜならそれは、真の愛をはっきりと理解していないからにほかなり
ません。
 
私たちが思い描く愛には、嬉しさ、喜び、悲しさ、寂しさ、苛立ち、
憎しみなど、何かそういったものが混ざり合うと捉えがちですが、そ
のように感傷的でロマンティックな感情の起伏が、愛というものなの
でしょうか? 
 
 

ではここからそれを、ゆっくりとひも解いていくことにしましょう。